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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2007年2月 「耳管」について PartII

 

 ことしは暖冬と言われ、一年中で最も寒い季節も例年よりはすごしやすいようです。
さて、今月も1月にひきつづき、「耳管」についてのお話です。耳管機能不全の時のお話のつづきをします。

◆かぜをひいて、飛行機に乗った時に耳が塞がったようになったり、痛くなったりするのはどうしてでしょうか?

 皆さんも御存知のように飛行機の離陸や着陸の際に上昇・下降するときには急速に外気の圧が変化するため、鼓膜の内側(中耳側)と外側(外耳道側)の間に圧の差が発生し、耳がふさがる感じがします。

たとえば、
離陸時(上昇時)→外界の気圧が急激に低下→内側(中耳腔圧)の圧が相対的に上昇→鼓膜が外にふくらむ
着陸時(下降時)→外界の気圧が急激に上昇→内側(中耳腔圧)の圧が相対的に低下→鼓膜が内陥する

 おもしろいことに鼓膜がふくらんでも、へこんでも同じように耳はつまる感じ(耳閉感)がします。だれでも飛行機の離陸や着陸の際には、多かれ少なかれこのように感じます。しかし、たまたまかぜをひいて耳管の働きが弱くなっている場合や、もともと耳管の働きが弱い人は、外気と中耳腔の圧の差を調節できないので、「航空性中耳炎」になることがあります。症状は、耳がつまった感じがとれない、きこえづらい、耳が痛いなどです。中耳腔内に出血したり、中耳の粘膜から滲出液がしみ出したりするからです。

 飛行機の離陸・着陸の際には耳がつまるかんじが出現する前に早めにツバや水をのむ、アメをなめる、ガムをかむ、あくびをする等を行なって耳管を開くようにして下さい。これらを行なっても耳閉感が続いたり、耳が痛くなった場合は、耳鼻咽喉科医を受診して下さい。

 かぜをひいていたり、耳の具合が悪い時に飛行機にのる場合は、前もって耳鼻咽喉科を受診し、のみ薬や点鼻薬をもらって下さい。ふだんから耳抜きしづらい人、鼻のとおりが良くない人も飛行機に乗る前に耳鼻咽喉科を受診すると良いでしょう。

◆スキューバーダイビングで耳抜きがしづらい

 スキューバーダイビングで水中に潜る時にも飛行機の離着陸時と同様、中耳の圧調節が必要になります。水圧は飛行機の離着陸時以上に強いですし、潜水中の強裂な耳管機能不全は時にめまいをひきおこし、致命的になることもあり、深刻に考えなくてはいけません。

 水中では水圧(陽圧)に対して、中耳腔圧は相対的に陰圧となり耳抜きをしなければ、鼓膜は陥凹します。これを防ぐには耳抜きを頻回に行いながら潜水していかなくてはなりません。耳抜きのやり方は鼻をつまんでいきむ(圧を加える)ということです。

 圧を加えることで、鼻から耳に空気が送りこまれて、中耳の陰圧が解消されます。しかし、次のような場合は、鼻の粘膜や耳管の粘膜が腫れて、空気が通りづらくなり、耳ぬきが困難になります。

  ○かぜをひいたとき
  ○花粉症、アレルギー性鼻炎のとき、慢性副鼻腔炎のとき
  ○アルコールを飲んだとき

 さらに過労、睡眠不足などで体調が悪いときも自律神経のはたらきが低下して耳抜きがしづらくなります。このような場合はその日のダイビングはなるべく中止して下さい。

 また、すでに耳の病気(たとえば慢性中耳炎や滲出性中耳炎など)を持っている場合には、基本的にはスキューバーダイビングはお勧めできません。耳鼻咽喉科専門医を受診して相談し、鼻や耳の治療を受ける、薬をもらう等が必要です。これら以外でもダイビング当日に耳抜きがしづらい場合はその日はダイビングをやめる勇気をもって下さい。

 

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