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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2017年8月 耳が痛く、耳だれがでてきたら外耳炎でしょうか?中耳炎でしょうか?

 日中はまだまだ暑い日が続きますが、夜になるともう虫の声が聞かれます。
1年中で最も暑さの厳しい季節ですが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。

 皆様、もしも、耳が痛くて耳だれが出てきましたら、どう考えますか?

 まず、外耳炎か中耳炎が疑われます。どちらも耳の炎症ですが、炎症がおきている場所が異なります。あたりまえですが、外耳炎は外耳が、中耳炎は中耳が炎症をおこしています。

耳の構造耳は外側から、外耳・中耳・内耳と大きく3つに分けることができます。外に見えている耳(耳介といいます)から耳の穴を通って鼓膜までが外耳。より奥の空気が入っていて、耳小骨があって音を伝える部分が中耳。中耳の奥には骨の中に、音を感じる部分(蝸牛)や体のバランスをとる部分(前庭)があり、これを内耳といいます。外耳と中耳はとなりあって、とても近いので、どちらも炎症をおこすと「耳が痛い」と感じます。でも、外耳炎なのか中耳炎なのかを自分で、あるいはお子様の場合、お母様が症状だけで判断するのはむずかしいため、ぜひ耳鼻咽喉科専門医に診断してもらって下さい。

 外耳炎と中耳炎はどちらも主に細菌感染でおきる炎症です。外耳炎の主な症状は、耳の痛み、耳の痒み、耳だれ、耳のつまったかんじ(外耳道の腫脹、狭窄によります)、難聴などです。

外耳炎では大きく口を開けたり、固いものを噛んだり、耳の前を押したり、耳(耳介)をひっぱると耳の痛みはひどくなります。耳の穴(外耳道)と下あごの関節(顎関節)とは隣どうしなので、外耳炎がひどくなると下あごの関節にも炎症が及び大きく口を開けたり、固いものを噛んでも耳が痛くなります。外耳炎がひどくなると口が十分にあけられなくなることもあります。

 外耳炎の患者さんは高温多湿の夏に急に増えてきます。耳かきによる傷、水泳、入浴などがきっかけでおきることの多い病気ですが、最近は特に耳かき、綿棒によってできた傷が原因の場合が多い印象があります。

軽い外耳炎であれば、外耳道を綺麗にして、軟膏や点耳液の治療で治りますが、重症の場合は抗菌薬や痛み止めの内服も必要になります。
原因菌が耳から入ってくる外耳炎に対し、急性中耳炎の原因菌は耳からではなく、上咽頭(鼻の奥、のどの天井)から耳管(上咽頭と中耳を結ぶ細い管)を通って中耳へ行きます。ですから、かぜをひいて鼻汁がたくさん出ているお子さんが急性中耳炎になることが多いのです。また、かぜ気味のお子さんが夜中に耳が痛いと急に泣き出すこともあります。

 急性中耳炎はまず抗菌薬を内服して治療します。しかし、炎症や耳の痛みが強いときは、鼓膜を切って中にたまっている膿を出す(鼓膜切開)処置を行うこともあります。

 外耳炎も急性中耳炎も耳がとても痛くなって、時には耳だれが出る病気ですが、区別する方法はあるのでしょうか。たとえば、外耳炎は大きく口を開けたり、固いものを噛んだり、耳の前のでっぱり(耳珠といいます)を押したり、耳介をひっぱると耳の痛みは増強します。急性中耳炎では痛みがこれらの動作で増強することはありません。逆に急性中耳炎では発熱などの全身症状が出ることもありますが、外耳炎では発熱はまずありません。しかし、発熱しない急性中耳炎もたくさんありますので、外耳炎と急性中耳炎を外から正確に区別することはやはりむずかしいです。中耳炎にはさらに、痛くないけど耳だれの出る慢性中耳炎や、やはり痛くないけど聞こえ方が悪くなる滲出性中耳炎もあり、耳鼻咽喉科専門医の診断が必要です。

 耳が痛い場合は、耳鼻咽喉科を受診して耳の中をみてもらって、どちらなのかを診断してもらい、適切な薬を処方してもらいましょう。

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