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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2024年6月 香りについて

 このところ、いつのまにか湿度が上がってきて空気が少しずつじめじめしてきています。今ごろになるとアジサイが急に元気になり輝きを増して、存在を誇示します。つくづく自然というのは不思議です。
 そしてこの気温と湿度が上がり始める頃になぜか増えてくるのが昨年もこの欄でもとりあげた「綿棒中毒」です。今年も当院外来では5月下旬ごろから綿棒中毒がジワリと増えています。

 なぜこのように毎年この時期、この欄で「綿棒中毒」にふれるかというと、6月〜9月の湿度が高い時期に比較的多くみられるということと、患者様ご自身が気をつける(耳内をさわらない)ことで良くなる可能性があるためです。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」で耳のいじりすぎはけっして良いことではありません。
 >>>2023年6月コラム「綿棒中毒」はこちら

 「世界はほしいモノにあふれている」というテレビ番組がありましたが、同じように「この世界は香りであふれている」ともいえます。もちろん良い香りも悪い香りもあります。好きな物は目に見えますが香りは目に見えないので実感がわかないと思います。でも確実に香りはそこにあります。私は最近、この香りに関する本を読んで、おもしろいなと思う本がありました。「植物の香り」のサイエンス 塩田清二・竹ノ谷文子 著(NHK出版新書)この本は主にアロマセラピーの本です。この本を読んでいてなるほどと思ったことは薬や食べ物は口から体内に入り、消化されてから吸収され、血液中へ入り、脳へ到達しますが、香り分子は鼻の嗅覚受容体に結合して素早く脳に到達します。つまり体内へ入ってから、体の各部へ指令を出す脳へ達するのに短時間しかかかりません。

 たとえば腐りかけた食物はにおいをかげば瞬時に食べてはいけないとわかります。口から入れてからという手間をかけずにすみます。
もちろん効果は異なりますが、薬だと効くのに数時間かかることがありますが、香りであればすぐその場で効きます。これがアロマテラピーの強みです。
 そこで種々の植物の香りの効果が示されますが、以下あげてみます。

○ストレスに効く香り ラベンダー、ベルガモット、クラリセージ
○体を覚醒させ、疲労に効く香り ペパーミント
○体を休ませ、疲労を回復させる香り ラベンダー
○寝つきが良くなる香り ベルガモット
○睡眠を改善する香り  
 ・副交感神経を優位にするもの ラベンダー、ローズウッド、コリアンダー、
イランイラン、真正ラベンダー、
ラベンダースーパー、プチグレン、
クラリセージ
 ・副交感神経を優位にするもの グレープフルーツ
○集中力、記憶力を高める香り ローズマリー
○不安に効く香り ラベンダー、ベルガモット
○脳を活性化し、
  意欲や集中力を高める香り
レモングラス、グレープフルーツ
○食欲を増進させる香り ラベンダー、ジンジャー、ペパーミント
○食欲を抑制する香り グレープフルーツ
○抗菌・抗ウィルス効果のある精油 ローズマリー、レモングラス、
ティートリー
○痛みをやわらげる精油 ジンジャー、マジョラム、イランイラン、
ラベンダー
○女性ホルモンに関連した
  症状に効く香り
クラリセージ、ゼラニウム、ラベンダー
○風邪を防ぐ香り ベルガモット
○筋トレの効果をアップさせる精油 ラベンダー

 香りの効果は簡単に試すことができますから症状に合わせてためしてみてもよいですが、自分の苦手な香りであれば、すぐにやめて他の香りをためしてみて下さい。
 「風邪を防ぐ香り」と「筋トレの効果をアップさせる精油」という最後の2項目ですが、これは「スポーツアロマ」という比較的新しい事項として出てきました。アスリートはご存知のように、ドーピングの問題で使えない薬がいろいろあり、その代わりとして植物の香りが使われています。アスリートのパフォーマンスの向上とトレーニング後の疲労回復が目的です。スポーツアロマでは香りのある精油の経鼻投与と経皮投与(マッサージ)があります。
 これはスポーツをする人でも、スポーツをしない人でも応用できる内容です。

全体をながめてみるとラベンダーがあちらこちらに出てきます。その時々の目的に合わせて香りを選んでみてはいかがでしょうか。

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