Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話
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  ○ 2006年10月 子どもがよくカゼをひくのですがどうしてでしょうか? 
          子どものカゼが1か月も続くことがあるのでしょうか?
  朝夕めっきり肌寒くなってまいりました。皆様いかがおすごしですか。 
     
   気温が下がってきますと、特に小さいお子さんのおられる家庭では、カゼが気になってきますね。「ことしこそ、カゼをひかないで、元気にすごそう!」といろいろ気を配っていてもやはりひいてしまうものです。これはおとなにも言えることですが 
   さて、幼稚園や保育園、小学校に通っている小さい子どもさんのおられる家庭で、 
  ●子どもがよくカゼをひくのですがどうしてでしょう? 
  ●子どものカゼが1か月も続くことがあるのでしょうか? 
  という疑問をいだいたことのある方もおられるでしょう。 
  一般的に子どもは1年間に平均5〜6回カゼをひくといわれています。ですから2か月に一度くらいなら仕方ないと考えて下さい。しかし毎月のようにカゼをひく、または月に2回も3回もカゼをひく、つまりもうカゼが治ったかなと思うとまたすぐにカゼをひくという場合はカゼをひきやすいのかなと思っていただいてよいでしょう。子どもがよくカゼをひく原因としては次の3つの要因を考えなくてはいけません。 
  
    - 子ども自身の抵抗力
 
    - カゼの原因となる病原体の力
 
    - 子どもの生活する環境
 
     
  1.の子どもの抵抗力については、よく知られているように生後6か月までは、胎内で母親からもらった抵抗力(免疫グロブリン)が働くため、あまり問題ありませんが、生後6か月以降は母親からもらった免疫がなくなるため、病原体に出合って自分で免疫力をつけなくてはなりません。 
   予防接種も自分で免疫力をつけるひとつの方法です。いろいろな病原体に出合い(感染し)、時には発熱して、自分自身で免疫力を身につけなくてはならないのは仕方ありません。ですから大抵のお子さんは、成長とともにカゼをひく頻度は減少します。 
   小学校に入学すると、何となく以前よりカゼをひかなくなったり、ひいても軽かったりという子どもさんが多いようです。 
   ただ、小さいお子さんでも、毎月のようにカゼをひくというように頻度が高い場合は、小児科で一度、きちんと検査をした方がよい場合もあります。 
   また、「いつもカゼをひいている。」という場合で、具体的には「熱もないし、のども痛くないけどいつも鼻汁がでている。」ということもあります。このような子どもさんでは、カゼではなくアレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎がうたがわれますので、一度耳鼻咽喉科を受診し、鼻だけでなく耳やのどもきちんと見てもらって下さい。「毎月のように発熱する。」という場合、扁桃炎をくり返している場合もあり、やはり耳鼻咽喉科医の診察を受けて下さい。扁桃の手術(扁桃摘出術)でよくなって、発熱しなくなることもあります。 
     
 カゼの原因となる病原体はまず、ウイルスがあげられます。 
   しかし、ウイルスが原因の鼻咽頭炎で始まるカゼも扁桃炎、中耳炎、副鼻腔炎、喉頭炎まで含めるとウイルス以外にも細菌(肺炎球菌やインフルエンザ菌等)、マイコプラズマ等多くの病原微生物が原因となります。 
   ウイルスに対する薬は今のところありませんが、細菌、マイコプラズマ等には有効な抗菌薬があるので、早めに受診されることをお勧めします。 
     
    ★子どもさんの生活環境では、いくつかの留意点があります。 
  ー留意点ー 
  1)集団生活      
     
    幼稚園、保育園、学校など集団生活をする空間ではどうしても病原体が伝染しやすくなります。カゼの流行する時期にはマスクをして、うがいや手洗いを徹底して下さい。 
    2)たばこの煙の害 
     
    部屋でたばこを吸う家庭の子どもはカゼにかかりやすいことが知られています。子どもを受動喫煙から守ることが大切です。 
    3)十分な睡眠と栄養 
     言うまでもなく夜ふかしで睡眠不足になると抵抗力が低下します。また、バランスの良い食事をこころがけて下さい。 
  「子どもがよくカゼをひく」「子どものカゼが1か月も続く」という場合、カゼ以外の副鼻腔炎、扁桃炎、喉頭炎、中耳炎等をおこしている場合もありますし、また子どもさんの生活環境に問題がある場合もあります。 
  ぜひ一度医療機関に御相談下さい。 
   
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