Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話
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○ 2006年11月 寒くなると鼻がつまるのはなぜですか?
毎日の平均気温はどんどん低下しています。特に早朝の気温の低下は身にしみます。このように寒くなってくると、鼻づまりを強く感じる人もいるでしょう。「どうして寒くなるだけで鼻がつまるのかな?」と疑問をもつ人もいると思います。今月は今まで何げなくすごしてきた寒い朝→鼻づまりについて考えます。
今まで何度もくり返しふれてきましたが、鼻のはたらきは次の5点です。
- 鼻から吸いこむ空気の温度を上げ、冷たい空気が肺の中に直接入らないようにする。(加温)
- 同様に、吸いこむ空気の湿度を上げる。(加湿)
- 吸いこむ空気のゴミをとりのぞく。(フィルター作用)
- においをかぐ。(嗅覚)
- 声の音色を作る。(構音作用)例:鼻がつまると鼻声になる。
1.加温 2.加湿 3.フィルター作用 の3点は体内環境と大きく異なる外気を肺に送る前に、体内に入れても大丈夫な状態に整えるはたらきです。
特に加温と加湿ができるため、人間は地球上のあらゆる地域、つまり、寒い地域でも、暑い地域でも、乾燥地域でも、地球上のどんな所でも生活してゆくことができます。
鼻が冷たい空気を吸いこむと、鼻の粘膜が腫脹し、鼻の中を空気が通りぬける時の空気抵抗がふえます。これが鼻づまりです。
空気抵抗がふえた方が、加温と加湿は容易になります。鼻から吸い込まれた空気はのどに届くまでに体温近くまで加温され、また十分に加湿されます。言いかえますと鼻呼吸は肺の生理的な環境を維持するために大切です。
では、「鼻呼吸」の反対語である「口呼吸」はどうでしょうか?口呼吸は鼻呼吸に比べて明らかに空気抵抗が少ないことは御自身で鼻呼吸と口呼吸を意識してやってみるとわかると思います。
空気抵抗が少ないということは「呼吸が楽だ」ということです。でも楽ではあっても加温も加湿も不十分です。口呼吸を長く続けているとのどがカラカラにかわくかんじがします。このような乾いた空気を肺に送って良いはずがありません。楽だからといって口呼吸が勧められない理由は加温も加湿も十分にできないからです。
つまり、寒くなって鼻から冷たい空気を吸うようになると、鼻は鼻の粘膜を腫脹させ、空気抵抗をふやし、加温や加湿を十分に行なおうとするのです。生理的に必要なことですので仕方のないことです。しかし、全くつまって通らないのでは困ってしまいますので、そのような場合は一度耳鼻咽喉科医に御相談下さい。
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