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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2007年9月 味覚障害:かぜをひくと食べ物の味が変わりますがどうしてでしょうか?

 今月は鼻と口はつながっているということの具体例です。大好きなことを「三度の飯より○○が好き」と言うように、人間の楽しみの第一は「食事」と言ってもよいと思います。ですから味が良くわからなくなると、毎日が楽しくなくなりますし、人生のQOL(quality of life)が低下してしまいます。たとえばかぜをひくと鼻汁がでたり、鼻がつまったりして鼻に気をとられているといつのまにか食べ物の味が変わったとか味がわかりにくくなってしまったという経験はありませんか?

 まず「食べ物のおいしさ」とは何か、からお話します。意外に複雑なしくみになっています。

  1. 狭義の味覚  甘味、酸味、塩味、苦味、旨味の5基本味。
  2. 広義の味覚  辛味、渋味、こく、広がり、厚みなど味覚に皮膚感覚を伴ったもの。
  3. 風味  味覚に嗅覚による香りが加わったもの。口の中から鼻腔に抜けて嗅覚を刺激して得られます。
  4. 食味  口の中で感じる食感、温度感覚。視覚による食物の色、光沢、形状。聴覚によるそしゃく音。
  5. その他  外部環境、生体内部環境など、つまり食事をしている場所の状況や、その時の体調、空腹か否かなどです。

つまり、味覚、嗅覚、触覚、視覚、聴覚と全感覚を使って「おいしさ」を感じています。

1〜5の全てがそろえば最高においしい!!
これらのうち、かぜをひいた時に変化する可能性があるものは鼻が関係する3,風味です。急に次のように感じるようになったら風味障害の可能性があります。 

○食物がおいしくなくなった。
○味が変わった。
○甘い辛いはわかるが、微妙な味がわからない。

 かぜをひくとこれらのことがおこることは多くの人が感じていると思います。この原因は、味覚自体の低下の他に鼻粘膜の腫脹(鼻づまり)やにおいを感じる嗅上皮粘膜の炎症がひきおこす、嗅覚低下が重要です。ほとんどの人ではかぜが治ると風味も元に戻ります。しかし中にはかぜが治った後にも風味障害が続くことがあります。これはかぜの症状がなくなっても鼻の粘膜の炎症が残って嗅覚が戻らない、かぜのウイルスがにおいを感じる神経(嗅神経)を傷つけた、などの場合が考えられます。いずれにせよ、かぜが治っても食物の味が以前と異なると感じられましたら耳鼻咽喉科を早めに受診して下さい。時間がたつと治りづらくなる場合もあります。

「おいしさ」を構成するものが前述の1〜5と大変複雑なため、いわゆる「味覚の障害」の原因はいろいろな発症因子が複雑にからみあっています。味がおかしいなと感じましたら耳鼻咽喉科専門医での検査・治療をお勧めします。

 

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