Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話
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○ 2008年7月 耳の前の小さな穴から臭い汁が出てきますが何でしょうか?
「みみ」と言うと、ふつうは、顔の横にとびだして、目に見える部分を思いうかべると思います。しかし、専門的にはここは「耳介 じかい」と呼ばれ、耳の一部です。耳は耳介の奥に外耳道、鼓膜、中耳、内耳と続いています。ですから、ふつう「耳」と呼ばれている部分(耳介)は耳の一部分であることになります。
さて、時々、この耳介の前の部分に小さな、針の先であけたのような穴があいていることがあります。この小さな穴を「先天性耳瘻孔 せんてんせいじろうこう」といいます。これはお母さんのおなかの中で耳介がつくられる時に残ってしまった穴です。頻度は50人にひとりぐらいと言われていますので珍しいものではありません。片方だけの場合も、両方の場合もあります。位置も、耳介の前上方のものが多い(8割)ですが、少し下方にある場合もあります。穴の奥は、入口の大きさから想像するよりは深く、1〜2cmはあります。穴の奥の方は途中で木の枝のように分枝していることもあります。時々白い悪臭のある汁がでてくることがあると思いますが、それ以外は一生症状がないことが多いです。
しかし、時には、この穴に感染し、赤くはれて痛くなったり、発熱することもあります。膿瘍形成(大きく赤くはれて膿汁がたまる)場合は切開して排膿しなくてはならない場合もあります。感染をくり返すようであれば手術をおこなって穴を入口から奥の方までひとかたまりにして摘出します。大部分の方では一生何もおこらないので、そのままにしておいてかまいませんが、瘻孔に感染をしばしばおこす場合には、手術も必要になることがあります。
「何だろう」と思って穴をつついたりはしないで下さい。穴からでてくる白い汁が多いなと感じたら、耳鼻咽喉科専門医を受診して下さい。
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