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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2009年9月 補聴器について Part1

 季節は確実に前へ進んでいます。光の具合、植物の葉の色、朝夕の気温等、何かが必ず変化して秋に近づいています。皆様いかがおすごしでしょうか。

今月は補聴器についてです。

補聴器」と聞くと、特にお若い方は、「自分にはまだまだ関係ない話」と考えやすいと思います。しかし高齢化社会の現代ではいつかは関係することになる問題のひとつです。年齢が上がると、特に耳の病気がなくても、生理的変化として、聴力は低下します。これはだれもが避けて通ることはできません。

たとえば、最近話題になった「モスキート音」。高周波数の音で、若年者では聞こえますが、年齢が上がると聞こえません。この変化も生理的なものです。モスキート音のように日常生活にあまり関係しない音であれば聞こえなくとも生活で不自由はしませんが、毎日よくつかう音の場合、きこえないと日常生活でさまざまな不都合が生じます。この助けをするのが補聴器です。

耳の病気が原因で補聴器を使い始める方、あるいは年齢的変化のためにそろそろ使おうかと考えている方、いろいろな原因で補聴器に関心をもちはじめると思います。日常生活で、次のようなことが頻回におこり、自分の聴力に不安を感じましたらお気軽に耳鼻咽喉科医にご相談下さい。

○会話中聞きかえすことが多くなった。
○ざわざわしているところ(例:居酒屋など)や会議の時に聞き取りづらい。
○家族からテレビの音が大きいと注意される。
○ピーピーという呼び出し音、警報音等に気付かないことがある。

これらのことが時々ありましたら「難聴」の可能性がありますので、是非一度耳鼻咽喉科を受診してみてください。

耳鼻咽喉科ではまず耳の中を拝見し、「耳あか」があれば取り除き、それから聴力検査をうけていただきます。耳鼻咽喉科を受診することの最大のメリットは、難聴の原因を調べてもらえることです。耳あかがたまっていれば耳そうじをしてもらえます。中耳炎があれば、中耳炎の治療を受けて下さい。これらにより、聞こえがよくなり補聴器が不要になることもあります。

もちろん治療が奏功しない難聴、たとえば先天的な子どもさんの難聴や、年齢的変化による高齢者の難聴、中耳炎や突発性難聴で治療を受けても残ってしまった難聴などもあり、これらでは補聴器の助けをかりることになります。

このように、治療を受ければ聴力が改善する可能性があるのか、補聴器にたよることになるのかを、まず診断してもらう必要があります。

ここでひとつ補聴器使用を考えている方、すでに御使用の方に比較的新しいシステムをお話しします。それは「補聴器相談医」というシステムです。難聴の方々が適正で効果的な補聴器を使えるように、御相談にのる耳鼻科専門医です。あまり耳にしたことがないと思いますが、もし補聴器をお考えの方は一度御相談になってはいかがでしょうか。皆様のお近くにいると思います。ちなみに私も補聴器相談医です。

聴覚を補う補聴器を視覚を補うめがねと比べますと、いくつかの違いがあります。
まず、購入したその日からほとんど使いこなせるめがね(二重焦点のめがね等で若干、慣れるために時間がかかる場合もありますが)に比べ、補聴器は慣れて、使いこなすためには時間がかかります。購入した販売店で納得いくまで調整をくり返す必要があります。調整しないとせっかく購入したのに使わずにしまったままになるという、大変もったいないことになってしまいます。
また補聴器は電池交換を含めて、その取り扱いや音質に慣れるのに多少時間がかかります。毎日少しずつでも使い、慣れ親しんで下さい。

何だかめんどくさいと感じる方もおられると思いますが、いったん自分のものにしてしまえば、周囲の人とのコミュニケーションに役立ちますし、またテレビ、ラジオ、観劇等楽しむこともできます。毎日の生活の中で、世界が広がると言っても過言ではないでしょう。補聴器でよく聴こえるようになったら、お友達とおしゃべりを楽しむとか、舞台を見にゆくとか、何か楽しい目標を作った方が補聴器に慣れる上でのはげみになると思います。

補聴器については、詳しく述べますと本一冊ほどの量になってしまいますが、ここではそこまで詳しくお話いたしません。来月は比較的よく尋ねられる質問についてお答えしたいと思います。

 

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