Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話
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○ 2010年1月 スギ花粉症の予想と治療法のおさらい
年が明けますと2月のスギ花粉症スタートまで、わずかな時間しかありません。「まだまだ先のこと。」と考えておられる方も多いでしょうが、むしろ1月は「スギ花粉症は、もう、すぐ、そこ。」と思っている方が良い時期です。
今月は、ことしのスギ花粉症の予想と、治療法のおさらいです。
1:2010年スギ花粉症の予想
花粉症の予想というのは、飛ぶ花粉の数と飛びはじめる時期の予想の2つです。
まず、飛散するスギ花粉の数の予想ですが、
「東日本と北日本はやや少なくなりますが、西日本ではほぼ例年並みとなるでしょう。」
昨年(2009年)夏の気温と日照時間から、ことし(2010年)春に飛散するスギ花粉の数が算出されます。昨夏は多くの地域で梅雨明けが遅れ、7〜8月の平均気温は平年を下回り、降水量も多めで日照時間が少なくなりました。たとえば東京では、ことしの春のスギ花粉の数は例年の半数以下と予想されています。ことしは幸いなことに飛散するスギ花粉は比較的少ない年と予想されているようです。
飛散開始時期は、「暖冬」という長期予報から、「花粉の飛散開始は例年並みか、やや早いでしょう。」とされています。たとえば東京では2月10日〜2月20日の間ごろです。
2:スギ花粉症の治療
アレルギー性鼻炎の治療として、次の4点があげられます。
(1)セルフケア(原因抗原であるスギ花粉をよせつけない)
(2)薬物療法
(3)手術療法
(4)特異的免疫療法(抗原特異的減感作療法)
このうち、だれでも比較的手軽に実行できることとして、(1)と(2)についてまずお話しいたします。
(1)セルフケア(スギ花粉の回避)
外出時
@花粉情報に注意する。
A飛散の多い時の外出を控える。外出時にマスク、メガネを使う。
B表面がけばだった毛織物などのコートの使用は避ける。
帰宅時
C帰宅時、衣服や髪をよく払ってから入室する。洗顔、うがいをし、鼻をかむ。
在宅時
D飛散の多い時は窓、戸を閉めておく。換気時の窓は小さく開け、換気は短時間にとどめる。
E飛散の多い時のふとんや洗濯物の外干しは避ける。
F掃除を励行する。特に窓際を念入りに掃除する。
(鼻アレルギー診療ガイドライン2009)
これらは治療の第一歩で患者さんのみができることです。
(2)薬物治療
薬物を使う治療で、まず皆さんが思いうかべる治療法だと思います。
最初に「初期療法」と呼ばれる薬の使い方をおすすめします。
花粉症の初期療法は花粉が飛びはじめる前から花粉症の薬(内服薬や点鼻薬)を使いはじめるという治療法です。たとえば、東京では1月下旬〜2月上旬から始めることが望まれます。症状が出ていないのに薬を使うことに抵抗を感じる方もいらっしゃると思いますが、次のような効果(いいこと)があります。
@花粉症の症状が始まるのが遅くなる。
A花粉症の症状が軽くなる。
B薬の量や使用回数を減らすことができる。
花粉症などのアレルギー性疾患は症状が悪化する(重くなる)と薬が効きづらくなります。しかし、症状が軽いうちに薬を使いはじめると、花粉の飛散量が多くなった時期でも症状をコントロールしやすく、その結果、そのシーズンの症状を軽くすることができます。
ここで花粉症の薬をのむときの注意です。
@花粉が飛ぶ量は雨や雪などの自然条件で減少する時期もありますが、薬の使用は途中で中断せずに、花粉飛散が少なくなる時期(スギ→4月後半、ヒノキ→5月中旬)まで継続することが望ましい。
A薬によっては眠けをもよおすことがあるため、車の運転、精密な仕事、高い所での作業などには注意して下さい。
Bアルコールといっしょに内服しない。
C眠気やだるさが強かったり、他にからだの異常を感じたときは、主治医に知らせて下さい。
(3)手術療法
くしゃみや鼻みずという症状は比較的、薬による治療が有効ですが、鼻づまりにはききづらいといわれています。手術療法は鼻づまりの強い人に、鼻閉の改善を目的におこなうことが多いです。手術の方法には次にあげるようなものがあります。
○アルゴンプラスマ手術
○電気凝固法
○レーザー手術
○その他
(4)特異的免疫療法(抗原特異的減感作療法)
これは効果は期待できるのですが、行なわれている施設が限られていることと治療に数年かかる点、稀にですが重篤な副反応をおこす点に問題があります。
ここで現在は治験段階ですが、数年後には実際に使われることが期待される治療法をご紹介します。「舌下減感作療法」と呼ばれるものです。いままでの特異的免疫療法は注射が必要でしたが、舌下減感作療法は、注射は不要で、舌の下の口腔粘膜に抗原を置いて、減感作をおこなうというもので、多くの人に期待されています。
花粉症シーズン中は、日常生活での生活習慣も大切です。花粉症の症状を悪化させる花粉以外の要因には次のようなものがあります。
@ストレスの多い生活。
A不規則な生活リズム。睡眠不足。
B高たんぱく質や高脂肪の食生活。
C排ガス、大気汚染→排気ガスなどで汚染された大気中の微粒子が免疫反応をおこす抗体を産生しやすくし、花粉症の発症を促進する。
Dアルコール→鼻閉悪化
ことしこそは早めに準備をととのえて、つらくない春をおすごし下さい。
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