Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話
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○ 2010年8月 「耳閉感について」
○電車がトンネルの中に入ったときの耳がつまったかんじ。
○飛行機が離陸したり、着陸するときの耳がふさがったかんじ。
○高層ビルのエレベーターにのって上昇するときの耳がふさがったかんじ。
これらを「耳閉感」と呼びます。比較的どなたでも、日常生活の中で時々感じるありふれた症状です。しかし、耳閉感の原因はさまざまです。外耳が原因のことも、中耳が原因のことも、内耳が原因のこともあります。1つの症状で、外耳・中耳・内耳のいずれの病気の可能性もあるという症状は他に「難聴」ぐらいです。
このホームページの「耳の病気について」の中の「8.耳のつまり」にいくつかの可能性が並べてありますが、ここではもう少し詳しくお話ししようと思います。
(1)外耳が原因の耳閉感
@耳あか(耳垢)が外耳道に充満した場合。
耳鼻科で耳内を拝見すれば外耳道に耳あかが充満していてわかります。その場ですぐに、または薬で柔らかくしてからとりのぞきます。
A外耳道に何か「もの」がつまった場合。
外耳道異物と呼びます。大人では、綿棒の先の綿がつまった場合や、耳栓が奥に入ってしまった場合などです。こどもさんでは、ビーズなどのおもちゃをあやまって外耳道に入れてとれなくなってしまった場合です。外耳道の皮膚を傷つけないように注意して、これらをとり除きます。
B外耳炎や外耳道湿疹で、外耳道の皮膚がはれて、つまった感じがする場合。
綿棒や耳かきで外耳道をいじりすぎた場合に多いです。さらに耳をいじっていると、耳が痛くなることもあります。外耳道を拝見すると、外耳道の皮膚が軽く赤くなっていたり、いじりすぎで皮膚がガサガサになっていたりします。外耳道の皮膚だけでなく、鼓膜も赤くなっている場合もあります。鼓膜も赤くなっている場合(鼓膜炎)では、「ピー」「キーン」という耳なりが聞こえるという訴えを聞くこともあります。
外耳炎や外耳道湿疹と診断されましたら、その治療、つまり外耳道に軟膏をぬったり、点耳薬をさしたりします。
外耳が原因の耳閉感の原因は、耳鼻科医が耳内をみると比較的わかりやすいです。しかし、耳あかがつまっていて、かつ次回述べようと考えている中耳や内耳が原因の耳閉感も合併しているという場合もあります。特に耳鳴りも伴う場合は聴力検査で聞こえを調べることが必要です。たとえ耳閉感の原因が耳あかだったとしても恥ずかしいことは全くありません。耳あかはいつでもお取りしますし、むしろ耳あかでよかったと考えます。耳がつまって何かヘンだな、おかしいなと感じましたら、早めに耳鼻咽喉科医を受診して下さい。耳閉感は御本人しかわからないうっとうしい症状ですし、耳内は耳鼻咽喉科医でないとわかりづらいため、あまり様子をみていないで、すぐ受診されることをお勧めします。
中耳や内耳が原因の耳閉感については来月以降に続けてお話いたします。
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