Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話
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○ 2011年6月 「アンチエイジング」について
新緑が美しい季節になりました。皆様お元気におすごしですか?
今月のテーマは病気に関係することではなく、「アンチエイジング」です。つまり、きこえのアンチエイジングについてのお話です。「アンチエイジング」と聞くと悪く言うと「うさんくさい」という印象をもたれる方もいらっしゃると思いますが、決してアヤシイことはありません。
まず医学的なアンチエイジングについて。アンチエイジングといっても昔話にでてくるような不老不死の薬を求めているわけではありません。アンチエイジング医学の教科書のはじめには「アンチエイジング医学とは加齢という生物学的プロセスに介入を行い、加齢関連疾患の発症確率を下げ、健康長寿をめざす医学である。」と書かれています。長生きするだけでなく、健康でないと意味がないですよね。
さて、きこえとアンチエイジングについてです。「老人性難聴」ということばを耳にしたことのある人も多いでしょう。老人性難聴というのは、加齢に伴って徐々に進行する両側性の感音難聴です。きこえはまず高い音から低下するという特徴があります。高齢になると耳が遠くなるということは、経験上みなさんも知っておられるでしょうし、生理的な変化として受け入れるしかありません。しかし、進行を遅くすることはできます。これがアンチエイジング医学の成果です。老人性難聴の特徴を並べてみます。
(1)高い音から低下しはじめる。
(2)年齢が上がると難聴の進行が早くなる。
(3)個人差が大きい。
(4)男性の方がより進行する。
(5)まわりがガヤガヤ、ザワザワしているととてもきこえづらい。
まず、老人性難聴の原因は遺伝か環境かという疑問ですが、遺伝的要因が1/3、遺伝外因子(環境)がのこり2/3ほど関係しているといわれています。遺伝部分は仕方ないとしても残り2/3の遺伝外因子は努力すれば変えられる部分です。具体的に並べてみると次のようになります。
(1)騒音曝露歴
(2)喫煙
(3)動脈硬化
(4)糖尿病
(5)虚血性心疾患
(6)腎疾患
まっ先に出てくる騒音曝露ですが、現代社会は騒音環境ばかりなので避けるのはむずかしい場合もありますが、少なくとも自分で騒音を求めないで下さい。ヘッドホンステレオを外に音もれするほど大音量で聞かないということでしたらすぐに実行できます。
(2)以下の項目は他臓器の老化原因にもなる項目であり、耳も人体の一部ということだと思います。
さらに、動物実験では「カロリー制限」をすると寿命が延長することが知られていますが、寿命延長とともに正常な聴力が保たれるそうです。つまり、カロリー制限は老人性難聴の予防に有用ということです。
アンチエイジングといってもイコール、サプリメントを買って飲むことだけではありません。自分ですぐに実行できることも多いので、できることから始めて下さい。
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