Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話
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○ 2013年6月 飲酒と耳鼻咽喉科の病気
アジサイの花が咲き、1年で最も昼の長い季節です。真夏はまだ先ですが、夏を予感させる、生命力に満ちた季節でもあります。
今月のコラムのテーマは、「飲酒と耳鼻咽喉科の病気」です。つまりアルコールとどうつきあうかです。昔から「酒は百薬の長」(酒はどんな薬にもまさる)と言われてきましたが本当でしょうか??
耳鼻咽喉科の病気は急性疾患、慢性疾患ともに炎症生の疾患が多く、アルコールを飲むと残念ながら、具合が悪くなってしまうものも多いのです。
耳鼻咽喉科の病気でアルコールと無関係なのは、ちょっと考えただけでも
ぐらいでしょうか。逆に、アルコールを避けたい病気を並べます。
- 急性副鼻腔炎、慢性副鼻腔炎
- 急性咽頭喉頭炎、慢性咽頭喉頭炎
- 嗅覚障害
- 鼻出血
- アレルギー性鼻炎、花粉症
- 急性中耳炎、慢性中耳炎
- めまい症
- メニエール病
- 突発性難聴
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耳鼻咽喉科の疾患のほとんどが並んでしまいます。
アルコールを飲んでもアルコール消毒をしたことにはなりません。
外来診療中に「アルコールはやめて下さいね。」とか「一週間は飲酒しないで下さいね。」とか言われている方々も多いと思います。
また、言われなくても暗黙の了解で、アルコールは飲まないという前提のもとで診療を受けている場合も多いですよね。
アルコールを飲まないと早く良くなります。アルコールを飲むとせっかく治りかけていたものが、ぶり返したり、遷延して治るのが遅くなります。おそらく、他科の疾患でもアルコールを飲まない方が早く良くなる場合が多いでしょう。
アルコールを飲むと良くない理由は、
@炎症そのものをアルコールが悪化させる。
例えばスギ花粉症のとき、アルコールを飲むとどうなりましたか?思い出してください。鼻がよりつまってとってもつらい思いをしたことを。
A治療薬との組み合わせが悪い。
スギ花粉症の代表的な治療薬である、抗アレルギー薬はアルコールと一緒に飲むと悪酔いするといわれています。
みなさん、どうか特に、急性炎症の治療中にはアルコールを飲まないで下さい。時々「先生、薬が効かない。」と言われることがありますが、根掘り葉掘り事情をうかがってみると「実は・・・・・。」という場合もあります。急性炎症の場合はアルコールを飲まない期間も短かくなります。完全によくなってからアルコールを楽しんだ方がよりおいしく飲めます。
これから夏になると冷やしたビールがおいしい季節になりますが、耳鼻咽喉科に通っている方はちょっと立ち止まって、よく考えてみましょうね。
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