Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話
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○ 2014年4月 舌下免疫療法について-その2-
日光がとても明るく、力強くなってまいりました。もう日焼けのことを考えなくてはならない季節になりました。皆様はいかがおすごしでしょうか。
花粉症も、4月上旬はスギがそろそろ終わり、ヒノキが飛んでいるころです。ことしは花粉飛散数は少ないといわれていますが、花粉症の方は、やはり症状が、軽くても、出ますので注意は必要です。
今回は舌下免疫療法について(その2)です。舌下免疫療法の概要は前回にお話しました。つまり今までののみ薬とは全く異なり、アレルギー疾患そのものを軽くすることができる。場合によっては治癒させることができるかもしれない治療法です。しかし、一回のめばスッキリとアレルギー性疾患がよくなるという魔法のような薬ではありません。毎日1日1回使っていただき、3年〜5年かかるといわれています。少なくとも2年間は毎日続けることが必要です。「えーっ、2年!!」と多少は驚かれことと思います。
(1)どういう人が舌下免疫療法の対象になるの?
それでは実際にスギ花粉の舌下免疫療法の対象になるのはどのような人なのでしょうか。ちなみに今回新たに発売されるスギ花粉の舌下免疫療法薬は「シダトレン」といいます。
@成人および12歳以上の小児のスギ花粉症患者さん。
A血液検査(特異的IgE抗体検査)または皮膚反応テスト(スクラッチテスト、皮内テスト)でスギ花粉への抗体が陽性であることが証明された方。
また、スギ花粉の舌下免疫療法が受けられない方は次のような方たちです。
- アレルギー反応の原因がスギ花粉でない患者さん。たとえばダニやハウスダストだったという患者さんです。
- β阻害薬使用中の患者さん。
- 重症の気管支喘息患者さん。シダトレンを投与することによって喘息発作を誘発するおそれがあります。
- 全身ステロイドの連用や抗がん剤を使用している患者さん。
- 治療開始時に妊娠している患者さん。
- 急性感染症にかかっている患者さん。
- 自己免疫疾患の合併や既往、または濃厚な家族歴を有する患者さん。
- 口腔粘膜疾患(外傷、潰傷、アフタなど)がある患者さん。
などです。
少なくとも2年間(できれば3年間)、毎日連続して舌下にシダトレンを投与することができることが最も大切です。さらに2週間に1度医療機関を受診できることも重要です。
(シダトレン市販開始后1年間は2週間の投与制限があります。)
(2)シダトレンを用いた舌下免疫療法は実際はどうやるの?
シダトレンの投与はスギ花粉飛散期以外に始めます。では実際にシダトレンはどのように用いるのでしょうか?シダトレンの入っている容器は全部で3種類あります。
@ 青いボトル
A白いボトル
B銀色のパック容器
@が1週目に1日1回用います。Aが2週目目です。Bは3週目以降、2〜3年間使います。
<初回投与>
医療機関の医師の目の前で投与してもらいます。舌下に滴下し、2分間保持した後、飲み込みます。その後5分間はうがい、飲食は控えます。
<増量期>
@青いボトル 1日め:1プッシュ →2日め:1プッシュ →3日め:2プッシュ →4日め:2プッシュ →5日め:3プッシュ →6日め:4プッシュ →7日め:5プッシュ
A白いボトル 1日め:1プッシュ →2日め:1プッシュ →3日め:2プッシュ →4日め:2プッシュ →5日め:3プッシュ →6日め:4プッシュ →7日め:5プッシュ
<維持期>
B3週目〜2・3年間。銀色のパックを1日1回1個用います。
(3)シダトレンの副作用にはどのようなものがあるでしょうか?
まず主な副作用として、口内炎、舌下腫張、咽喉頭のかゆみ、口腔内腫張、耳のかゆみ、頭痛等があります。
口腔炎〜耳のかゆみまでは「舌下」投与のための特有なものです。しかしこれらの不快な症状も投与を続けるうちに軽減・消失することが多いといわれています。たぶん舌下腫張や口腔内腫張は皆様大変驚かれると思います。
さらに重大な副作用としてショック、アナフィラキシーがあります。これらの副作用は副薬後30分以内、本療法開始1カ月以内、またスギ花粉飛散季節に特に注意が必要です。服用前後2時間程度は激しい運動、アルコール摂取、入浴は避けましょう。
皆様いかがですか?舌下免疫療法というのは少なくとも2年間は毎日毎日続けなくてはなりません。大変な努力が必要な治療法ですが、続ける価値はあると思います。本年10月以降にシダトレン発売予定で、保険適用もあります。アレルゲン免疫療法を詳しく知りたい方には「トリーさんのアレルゲン免疫療法ナビ」http://www.torii-alg.jp/もご覧になってみて下さい。
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