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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2015年6月 好酸球性副鼻腔炎について

 気温が上がり、熱中症に気をつけなくてはならない季節となりました。しかし、日によっては肌寒い日もあり、温度変化に対し、細かく対応しないとかぜをひいてしまいますので注意してください。
 さて今月は、最近たまに耳にすることがあるかもしれない「好酸球性副鼻腔炎」のお話しです。

 実は耳鼻咽喉科医の間では最近話題になっています。厚生労働省の難病にも指定されました。副鼻腔炎というのは聞いたことがあると思います。慢性副鼻腔炎とか急性副鼻腔炎とか。要は「副鼻腔」の炎症です。好酸球というのは、白血球の一種である顆粒球の一つです。普通染色標本でみると、エオジン親和性の橙黄色に染まる顆粒(好酸球性顆粒)が細胞質に充満しています。好酸球は白血球の0.5〜7%を占めます。
つまり、好酸球というのは血液を普通染色してみると橙黄色に染まる白血球です。ですから、だれでももっています。しかし、好酸球性副鼻腔炎では副鼻腔の組織にも、血中にも好酸球がたくさん含まれています。

好酸球性副鼻腔炎の特徴は以下のとおりです。

1.成人で発症します。
2.両側とも鼻茸(はなたけ)が充満します。
3.嗅覚障害があります。しかも早い段階からあることが多いです。
4.粘りけの強い鼻汁がでます。(好酸球が多数含まれています。)
5.喘息を合併することが多いです。(80%)
6.血液中の好酸球もふえます。(7%以上)
7.手術をしても再発しやすい。つまり鼻茸(はなたけ)が再発します。
8.ステロイドの全身投与が有効です。

好酸球性副鼻腔炎は進行するとにおいが全くわからなくなることも多いといわれています。また好酸球性副鼻腔炎がさらに進行して、好酸球性中耳炎になることもあります。好酸球性中耳炎は好酸球の多数含まれた耳漏を認め、難聴が徐々に進行し、最終的に聾になることもあります。

 鼻の病気というと今まではまず「畜膿症」が思いうかぶと思います。畜膿症つまり慢性副鼻腔炎は細菌感染が原因でした。しかし、近年、衛生環境が整い、抗菌薬が発達し、手術も進歩すると畜膿症は徐々に減少してきています。そして、その代わりに抗菌薬も手術も有効でない好酸球性副鼻腔炎のような副鼻腔炎が少しずつふえています。今までも、手術をしても再発しやすく、抗菌薬もあまり有効でない副鼻腔炎はありましたが、「好酸球性副鼻腔炎」という名前がついて妙に納得しました。

 しかし数の上からは、まだまだ好酸球性副鼻腔炎は少数ですので大部分の方は御安心下さい。

 

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