Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話
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○ 2016年12月 スギの舌下免疫療法(シダトレン)について
冬至に向けて、日脚の大変早い季節となりました。12月〜1月にはいろいろとやらなくてはならないことも多いと思います。お忙しい季節ではないでしょうか。皆様いかがおすごしですか。
まず、耳鼻咽喉科としては、スギの舌下免疫療法(シダトレン)を開始ご希望の方がおられましたら、12月中に始めて下さい。毎年1月〜5月ははじめられません。スギ花粉が少しでも飛散している時は始められないため、このような制限がついています。来シーズンのスギの季節を楽にすごしたいという方がおられましたら、なるべく早く耳鼻咽喉科を受診することをお勧めいたします。12月にシダトレンを始めても、スギの季節までは2〜3か月ですが、昨年12月下旬にかけこみでシダトレンを使い初めた患者さんでも、ことしのスギ花粉シーズンはそれなりに効果がみとめられました。
シダトレンを使ってみようかなとお考えの方はなるべく早く受診して下さい。と申しますのも初診の時にすぐにシダトレンを処方することはできません。まず血液検査をうけていただき、スギの抗体が血液中にあることを示さなくてはいけません。スギの舌下免疫療法の手順は次のようになります。
@血液検査を行ない、血液中にスギに対する抗体が存在することを示す。
Aスギ抗体陽性であれば、シダトレンを使うことができますが、まず200JAU/mlのボトルから使い始めます。これを使い方にしたがって1週間使います。そして使いはじめる初日は、クリニックの先生の目の前で一度使っていただき、そしてクリニック内で30分間待っていただきます。30分後に先生にもう一度みてもらい、問題がなければ2日目からはご自宅で使っていただきます。よって時間に余裕をもってクリニックを受診して下さい。
B1週間後は、2000JAU/mlという10倍の濃度の液体が入ったボトルをまた1週間使い方にしたがって使っていただきます。この「使い方」というのは、毎日使う分量がふえてゆくということです。
Cさらに1週間後、問題が特になければ、2000JAU/ml,1mlのパックを1日1パックずつ使っていただきます。BとCは等しい濃度ですが、Cになると1回分ずつのパックになっています。以後はこの2000JAU/ml,1mlパックを毎日1パックずつ使っていただきます。最終的には1か月に1度クリニックを受診して下さい。これを3年間続けていただきます。3年間!!と聞くと長いようですが、もし続ける自信のある方であれば1度トライしてみて下さい。
よく見られる副作用なのですが、たとえば口の中がはれた、舌の下がはれたというような場合は途中で抗アレルギー剤もいっしょに内服していただくこともあります。
@とAまでを年内に始めていただきたいのです。
それと、よく尋ねられるのは費用のことです。舌下免疫療法は、スギでもダニ・ハウスダストでも健康保険がききます。まず診察にかかる費用ですが、最初の日の血液検査は、3割負担の方は4,000〜5,000円ぐらいかかりますが、次回以降は1,000円以内です。また、院外処方の場合の薬代ですが、やはり3割負担の方でひと月にスギの方は1500〜2000円ぐらいで、ダニ・ハウスダストは2,500円くらいです。実はそれほど高額ではありません。大切なのは長く続けるということです。
スギ花粉症の舌下免疫療法に少しでも興味をもっておられる方はぜひ一度、お近くの耳鼻咽喉科を12月中のなるべく早い時季に受診してみて下さい。
少し早いですが、2017年の各地のスギ花粉飛散予測が出ています。気象業務支援センターの村山貢司さんのスギ花粉飛散予測では、2017年春の花粉は東海地方から九州にかけて前年を上回り、過去の平均より多くなるそうです。これに対し東日本ではほぼ平年並という予測が出ています。しかし、「平年並」といいましても、たとえば10年前の平年並と現在の平年並では、現在の方がずっと多くなっているため、けっして油断はできません。
少し早いスギ花粉のお話でしたが、スギ花粉症の方は早め早めの準備を心がけましょう。
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