Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話
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○ 2017年2月 2017年 ことしも花粉症対策を始めましょう
日脚が徐々に延びてまいりました。でも気温はまだまだ低めです。この「日の光はとても明るいのだけれど、気温は低い」というギャップがきっと「春は遠くない」という感じを呼ぶのだと思います。日中の長さだけを見ますと、春分の日1か月前の2月はたぶん秋分の日1か月後の10月ごろと同じと考えられますが、気温が全く異なります。人間も生物の一種ですので、日中の長さと気温の両方を肌で感じながら毎日をすごしてゆきます。
かぜにばかり気をとられていると、もうスギ花粉症の季節がいつのまにか近づいています。大変敏感な方は1月のうちからスギ花粉に反応していますが、大多数の方は2月からと考えられます。スギ花粉症の方は、準備は整っていますか?ことしのスギ花粉の量は報道されているように、大ざっぱにいって、西日本は昨年より多めで東日本は昨年よりやや少なめという予想です。東日本では「やや少なめ」といいましても平成28年の飛散量と平成29年の飛散予測量はわずかしか違わないため、ほとんど昨年と同じと考えた方が良いと思います。西日本ではたしかに平成28年の飛散量に比べますと平成29年の飛散予測量は概ね増えています。ただ昨年は西日本の飛散量が例年より少なくなっている所が多く、平成28年に比べますとことしの飛散予測量はふえますが、過去10年間の平均値と大体同じくらいのところが多いです。
さてスギ花粉症の治療ですが、これはほぼ昨年と同じです。「花粉症の薬は眠い」「眠くない薬はきかない」という印象をもっている方も多いと思いますが、昨秋に発売された抗アレルギー薬は眠気を減らして、かつ効果も高くという方向で開発されました。患者様の要求はこの方向だと思いますので、今後もこの方向の薬が出てくると思います。
参考までに2012年のコラムに載せた「スギ花粉症の治療」をもう一度載せます。一部、舌下免疫療法の内容を現在に則して変えています。
■スギ花粉症の治療
アレルギー性鼻炎の治療として、次の4点があげられます。
(1)セルフケア(原因抗原であるスギ花粉をよせつけない)
(2)薬物療法
(3)手術療法
(4)アレルゲン免疫療法
このうち、だれでも比較的手軽に実行できることとして、(1)と(2)についてまずお話しいたします。
(1)セルフケア(スギ花粉の回避)
外出時
①花粉情報に注意する。
②飛散の多い時の外出を控える。外出時にマスク、メガネを使う。
③表面がけばだった毛織物などのコートの使用は避ける。
帰宅時
④帰宅時、衣服や髪をよく払ってから入室する。洗顔、うがいをし、鼻をかむ。
在宅時
⑤飛散の多い時は窓、戸を閉めておく。換気時の窓は小さく開け、換気は短時間にとどめる。
⑥飛散の多い時のふとんや洗濯物の外干しは避ける。
⑦掃除を励行する。特に窓際を念入りに掃除する。
(鼻アレルギー診療ガイドライン2013)
これらは治療の第一歩で患者さんのみができることです。
(2)薬物治療
薬物を使う治療で、まず皆さんが思いうかべる治療法だと思います。
最初に「初期療法」と呼ばれる薬の使い方をおすすめします。
花粉症の初期療法は花粉が飛びはじめる前から花粉症の薬(内服薬や点鼻薬)を使いはじめるという治療法です。たとえば、東京では2月上旬から始めることが望まれます。症状が出ていないのに薬を使うことに抵抗を感じる方もいらっしゃると思いますが、次のような効果(いいこと)があります。
①花粉症の症状が始まるのが遅くなる。
②花粉症の症状が軽くなる。
③薬の量や使用回数を減らすことができる。
花粉症などのアレルギー性疾患は症状が悪化する(重くなる)と薬が効きづらくなります。しかし、症状が軽いうちに薬を使いはじめると、花粉の飛散量が多くなった時期でも症状をコントロールしやすく、その結果、そのシーズンの症状を軽くすることができます。
ここで花粉症の薬をのむときの注意です。
①花粉が飛ぶ量は雨や雪などの自然条件で減少する時期もありますが、薬の使用は途中で中断せずに、花粉飛散が少なくなる時期(スギ→4月後半、ヒノキ→5月中旬)まで継続することが望ましい。
②薬によっては眠けをもよおすことがあるため、車の運転、精密な仕事、高い所での作業などには注意して下さい。
③アルコールといっしょに内服しない。
④眠気やだるさが強かったり、他にからだの異常を感じたときは、主治医に知らせて下さい。
(3)手術療法
くしゃみや鼻みずという症状は比較的、薬による治療が有効ですが、鼻づまりにはききづらいといわれています。手術療法は鼻づまりの強い人に、鼻閉の改善を目的におこなうことが多いです。手術の方法には次にあげるようなものがあります。
○アルゴンプラスマ手術
○電気凝固法
○レーザー手術
○その他
(4)アレルゲン免疫療法(これだけは以前と異なります)
アレルゲン免疫療法はこのコラムでも何度かとりあげましたが、
①皮下注射による方法
②舌下免疫療法
の2つがあり、②スギの舌下免疫療法が平成26年10月から新たにできるようになりました。
実際問題として、注射をうけるために毎週医療機関を受診するということは大変な手間と時間がかかるために、だれでもできるという方法ではありませんでした。その点、舌下免疫療法は、1ヶ月に一度の受診ですみます。痛い注射も受けずに済みます。大変おすすめなのですが、1点だけ注意してください。それは始める時期です。花粉が飛び始めてからはできませんので、今、現在は無理です。
御希望の方は、申し訳ないのですが、来年の花粉症シーズンのためにことしの6月〜12月に来院してください。来年も1月〜5月は始めることができません。
花粉症シーズン中は、日常生活での生活習慣も大切です。花粉症の症状を悪化させる花粉以外の要因には次のようなものがあります。
①ストレスの多い生活。
②不規則な生活リズム。睡眠不足。
③高たんぱく質や高脂肪の食生活。
④排ガス、大気汚染→排気ガスなどで汚染された大気中の微粒子が免疫反応をおこす抗体を産生しやすくし、花粉症の発症を促進する。
⑤アルコール→鼻閉悪化
以上2012年2月コラムより(一部改変)
耳が痛い項目もあるかと思いますが、できるだけ避けて春を迎えましょう。
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