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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2019年4月  「鼻うがい」について

 「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。」
と1000年昔に清少納言が述べているように、春の明け方は気持ちいいものです。冬ほど寒くはないですし。春分の日がすぎますと夜明けは少しづつ早まり、いつもの時間にめざめると、もうあたりは明るいということになりますが。皆様いかがお過ごしでしょうか。

 花粉症はだいたいの目安として、スギ花粉症が4月上旬まででヒノキ花粉症がゴールデンウィークまでと考えてよいと思います。ですからスギ花粉症の方であればそろそろ楽になりますが、スギ花粉症に加えてヒノキ花粉症も持っておられる方は、少し楽かなと油断していると、また症状が強くでます。くれぐれも油断しないでください。

 皆さんは「鼻うがい」って聞いたことがありますか?
普通「うがい」というと「口でうがい」のことですが、「鼻うがい」というのは「鼻からうがい液を入れて、鼻や口から出す。」ことです。現代社会では空気中に、ほこり、花粉、細菌ウィルスなどの異物が浮遊しており、これらを吸入する鼻を洗ってきれいにしましょうというものです。また、慢性副鼻腔炎のように、鼻汁が鼻内にある場合もこれを洗い流します。

  今回はこの「鼻うがい」について少し述べます。
一般的には「鼻うがい」で通じますが、「鼻洗浄(はなせんじょう)」、「鼻腔洗浄(びくうせんじょう)」ということもありますが、どれも指していることは同じです。ここでは「鼻うがい」で通します。

 実は鼻うがいにつては賛否両論があります。
鼻うがいが良いという意見はもちろん、鼻汁や花粉、ほこりなどを取りのぞくことができるというものです。鼻うがいに否定的な意見は、鼻粘膜上皮のバリア機能を障害するというものです。しかし、これも頻回にやりすぎない等の注意事項を守れば大丈夫です。

 まず、どういう時に鼻うがいをするか、どのような場合に有効かですが、次のような場合に有効といえます。

@鼻炎、花粉症
 鼻炎や花粉症の原因物質を洗い流してくれます。
A副鼻腔炎
 鼻腔内の鼻汁を洗い流してくれます。
B急性上気道感染
 風邪や急性副鼻腔炎ですが、なってからでもまたなる前の予防でも。

〇「鼻うがい」のやり方

 プールで泳いでいて、鼻に水が入るとツーンと不快な感じがするのは、溶けている塩素の影響と、プールの水の浸透圧が体液と違うからといわれています。これを防ぐために通常は生理食塩水(0.9%)を使います。生理食塩水は体温と同じくらい(36℃程度)で使います。冷たいとやはり鼻粘膜を刺激します。

 洗浄液を鼻内に入れる時は頭を前に45度傾け、さらに水を入れる側に45度傾けて入れます。ゆっくりと水を入れていきますが、この時「アー」とか「エー」とか声を出しながら入れるとむせにくくなります。
 そして鼻うがいが終わってもすぐに唾液を飲み込まないで下さい。唾液を飲み込むと洗浄液が耳へ行きやすくなり、中耳炎の原因となってしまします。
 一呼吸置いたら大丈夫です。そして鼻うがいを行うのは1日3回以下としてください。多ければ良いというわけではありません。
 水を注入している時も、反対側の鼻から水が出てきますので洗面所等でやるか、顔の下に水を受ける洗面器のようなものを置いてやって下さい。

 

 このように書いていると難しいことのように思えると思いますが、慣れればそのようなことはありません。鼻うがい専用の簡単な器具はドラッグストアや量販店で売っています。(名前を挙げますと、ハナクリーン、ハナノア、東京鼻科学研究所 スタンダードタイプ、Squip鼻洗浄システム、サイナス・リンスキットなどなど他にも沢山)
 また、洗浄液を作る材料(溶解させる顆粒)も買うことができます。

 花粉症の季節をもう少しすっきりすごしたいなとお考えの方は1度「鼻うがい」をためしてみてはいかがでしょうか。

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