Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話
当月のTea-break > tea-breakバックナンバー
○ 2019年10月 ハウスダストについて
すっかり秋らしくなりました。1ヶ月前のあの蒸し暑さが嘘のようです。
気候変動に気をつけないといけない時期ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
本日は「ハウスダスト」についてのお話をします。
あのダニ・ハウスダストのハウスダストです。ハウスダストに含まれているものは、ダニの死がいやフン、人の身体から出るあか、フケ、髪の毛、ペットの毛、カビなどの混合物で、喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などの原因の一つといわれています。
ハウスダストに一番多く含まれている成分がチリダニ(ヤケヒョウヒダニやコナヒョウヒダニ)です。
私が大学生の頃、実習で家のそうじ機からゴミを持ってきて、それを顕微鏡で見るということを大学でやりました。ちょうど私の部屋のゴミを持って行ってグループみんなとみたところ、ダニがいました!!
手のひらぐらいのゴミに2匹ほどのダニでしたがショックでした。
いるんです。どこにでも。
耳鼻咽喉科関係ではハウスダストは通年性アレルギー性鼻炎の原因と考えられています。「通年性」ということは、「1年中」という意味です。でも1年中症状が同じ程度ということはありません。
ダニ数の量の推移を月ごとに追ってゆきますと、寒い季節から春にかけて(1〜5月)はとても少ないのですが、気温と湿度が徐々に上がってくる6〜8月には爆発的に増えます。5月と最高に高い8月との量を比べると10倍以上の開きがあります。
ところがダニアレルゲン量(ダニ数ではありません。ダニの死がいとフンの量です)はもちろん7月、8月と徐々に増えますが、ダニ数が最高に増える8月より2ヶ月後の10月にピークを迎えます。ですからダニアレルゲンが原因のダニ、ハウスダストの通年性アレルギー鼻炎も夏よりも秋の方が多いです。
ダニの発生条件は、
@温度20〜30℃
A湿度70%以上
B産卵に適した潜伏先がある
の3点です。@とAは梅雨〜夏の気候にぴったりです。ここで増殖したダニが2ヶ月後の9〜10月に、フンや死骸になります。ダニの寿命はだいたい2〜3ヶ月です。ですから生きているダニ数が最高になった8月の2ヶ月後の10月にダニアレルゲン量が最高になります。
実は9〜10月にかけて、鼻アレルギー症状(くしゃみ、鼻水、鼻閉など)が出現する方は意外と多くいらっしゃいます。そういう方を拝見しますと可能性としては次の2点が考えられます。
@ブタクサ、ヨモギなどの秋の植物が原因の花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)
Aダニ、ハウスダストが原因の通年性アレルギー鼻炎
当院は、周囲にほとんど空き地が無く、ブタクサやヨモギが生える環境にないためどちらかというと、Aの可能性が高いと考えられます。ただ当院の周囲に空き地がなく仕事場近くに雑草が生えていなくても、ご自宅の周囲に空き地や土手などがある方は@の可能性も出てきます。
どちらかはっきりさせる為には血液検査が必要です。
1年中症状が出るといわれている、ダニ、ハウスダストのアレルギー性鼻炎ですが、実は出やすい時期(秋)があるということをみなさんに知っていただきたいと思います。もちろん、症状の強い方は、1年中季節に関係なく症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり等)が出ますが、症状が出たり出なかったりという方は秋に出やすいのです。
秋にくしゃみや、鼻水、鼻づまりが出ると「秋の花粉症かな」と考えると思いますが、一度は血液検査を受けてブタクサやヨモギなのか、ダニ・ハウスダストなのか何が原因か調べましょう。
▲ページトップへ
|