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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2019年12月  口呼吸、鼻呼吸と2020年スギ・ヒノキ花粉情報

 ことしのカレンダーもいよいよ最後の1枚となりました。
 ことしは、夏がとても長くて、気持ちの良い秋が短く、あっという間に冬になりました。例年ですと夏からゆっくり秋になって、秋からまたゆっくりゆっくり時間をかけて冬になってゆくのですが、ことしは1日で季節が変わってびっくりした日もありました。
 皆様いかがお過ごしでしょうか。

急に気温が下がったからでしょうか。外来ではのどが痛い、鼻汁が出るという訴えの方が例年の同じ時期に比べて多くなっています。皆様はいかがですか。

 東京地方ではここのところ空気が乾燥ぎみです。疲れがたまっていたり、睡眠不足だったりと身体の抵抗力が低下します。抵抗力が下がった時に、たまたま口呼吸で眠ってしまうとてきめんにのどが痛くなります。朝、めざめるとのどが痛くて「あー、やっちゃった」と思うことはないですか?

 そもそもこの口呼吸とそれに対になってよく出てくる鼻呼吸って何でしょう。
まず、眠っている時の生理的な呼吸は鼻呼吸です。しかし、風邪をひいて鼻がつまり気味だったり、アルコールを飲んで眠った夜は鼻で呼吸ができないので、自然と口呼吸になります。すると翌朝はのどがカラカラに乾き、運が悪いとのどが痛くなります。

 起きている時は、安静にしていれば鼻呼吸ですが、たとえばジョギングをするとか運動時は口呼吸になります。鼻呼吸の方が、のども痛くならないで良いということはわかっているのですが、運動時はたくさんの酸素を体内に取り込もうとするために楽な口呼吸になります。起きているときであれば、唾液を飲みこむ回数も眠っているときより多いですし、水も飲めますから、眠っている時ほどのどがカラカラに乾くことはありません。
以前も述べましたが、鼻の主な機能には次の様なものがあります。

1)吸気の加温、加湿
2)吸気中のごみを取り除く
3)嗅覚(においをかぐ)
4)共鳴(これがそこなわれると鼻声になります )

口呼吸では、吸気の加温・加湿がしづらくなります。たとえば、鼻呼吸の方が口呼吸よりも約2℃加温能力が高く、水蒸気圧が約2mmHg高いという報告もあります。

 鼻呼吸では、吸気中のごみは鼻の入口で鼻毛で取り除かれますが、口呼吸では吸気中のごみは取り除かれることなく気管や気管支へ入ってゆきます。
 においもあたりまえですが、口呼吸では全くわかりません。口で呼吸しているのでにおいの粒子が鼻の上の方にあるにおいの神経細胞(嗅球)へ絶対行けません。

  鼻の機能ではありませんが、鼻呼吸で眠っていればいびきはかきません。(かけません。)いびきをかいている時は必ず口呼吸です。
 鼻呼吸こんなに良いことばかりなんです。口呼吸を使うのは哺乳類ではヒトだけという説もあります。

 東京地方ではこれからますます空気が乾燥していきますので、しっかり鼻呼吸をして気道を乾燥させないようにしましょう。

そしていよいよ2020年のスギ・ヒノキ花粉飛散予測の第一報です。
NPO法人花粉情報協会からの情報では、
「2020年春のスギ・ヒノキの花粉飛散量は、2019年春の花粉飛散量と夏の気象状況から、2019年よりかなり少なく、過去10年の平均と比較しても40%から70%程度となる地域が多くなると予想されています。また、過去10年平均の花粉飛散量は、10年前と比べ約2倍(船橋市)になっており、近年の花粉飛散量自体は増加しています。」

 たとえば東京では、過去10年の平均は5195個/cm2 ですが、来年の予想は2784個/cm2と約半分となっています。
また、2019年実測値は6790個/cm2でとても多い年でした。ですから来年のスギ・ヒノキ花粉は2019年の(つまりことし)よりずーっと少なく、10年平均の約半分といえます。
 後の文(また、過去の10年平均の〜 花粉の飛散量自体は増加しています。)が言っていることは、今の過去10年間平均値と10年前の過去10年間の平均値を比べると今の過去10年間の平均値の方がずっと多い、だから最近の花粉飛散量は増加気味ですと言うことです。

 ただ来年は例外的に飛散花粉が少ない年になるでしょう。花粉症の方にとってはたいへんありがたい予報です。

  さてここで、話はそれますが、スギの舌下免疫療法を新たに始めることができるのは12月までです。12月から始めても2020年春の花粉症には有効じゃないんじゃないかと思っておられる方もいらっしゃると思いますが、そんなことはありません。充分に有効ということはもちろんありませんが、想像しているよりは効きます。
 もし、スギの舌下免疫療法をやってみようかなと考えていらっしゃる方がおられましたら、なるべく早く耳鼻咽喉科へおいでください。

 

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