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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2023年8月 「声」について

 1年中で最も暑い季節となりました。昼間はセミの大合唱が聞かれますが、夜には秋の虫の声が聞こえますから次の季節がもう準備をはじめています。自然って偉大ですね。皆様いかがおすごしでしょうか。
 実は私事で恐縮ですが、先日30年ぶりに高校の同窓会がありました。
私の通った高校では3年間組替えが無かったため皆さんととても親しくなりました。
 そこで近況報告となるのですが、外見は皆さんとても変化していて、ご本人とは思えないというか全くわからないのですが、話をしはじめると声は以前とあまり変わっていませんでした。声の力というか、存在感にびっくりしました。皆様にもきっと似たような経験があることでしょう。

 今回は「声」のことを考えます。
 考えてみますと人間のようにいろいろな声を出し、細かく意思を伝えることのできる生物は他にはいません。人類が高度な文明を築くことができたのにも声は一役買っています。声は声帯と共鳴腔によって作られます。声帯は喉頭にある1.5〜2センチの一対になった粘膜のひだです。声帯でまず作られる「声帯原音」と声帯より上の共鳴腔である喉頭腔や咽頭腔、口腔、鼻腔で作られます。
 声帯が長ければ声域は低く、声帯が短ければ高い声域となります。眼を閉じて声を聞くだけで、男性か女性か年齢までだいたいわかります。体格とほぼ比例しますので低い声なら身長が高く、高い声なら身長は低めになります。男性と女性の声の違いはホルモンの影響もあります。歌舞伎の女形の俳優さんたちは裏声でカバーしてますね。少し古くなりますが、ニューズウィーク2022年11月1日号の音声ジャーナリスト山附G子さんの興味深い記事「他人を動かし自分を変える声の潜在力」によれば「日本女性の声が世界一高い。」これは日本女性が小柄だということではありません。ある1日の女性キャスターの声を集め、高さを調べてみると最も高いのは日本。つづいてインド。そしてドイツ、フィンランド、米国、英国、カタール、中国はぐっと低い音でほぼ同じ高さでした。

 日米を行き来して仕事をしている日本人女性が「アメリカでは低い声でしゃべるのに日本に戻ると高い声になってしまう。日本語だからじゃなく、英語でもそう。」とおっしゃっていたそうです。つまり、日本人女性は社会が求める高い音を無意識に作り出しているということのようです。日本の男性の声はだみ声よりも深みのある響く声が好まれるようになったそうです。つまり男性の声に対する価値観はすっかり西洋化したようです。
 そしてここからがおもしろいのですが、現代の各界のトップの声について評伝が書かれています。

 たとえば田中角栄氏。本来の金属的高音を変え、だみ声で国民を魅了したとありました。

ドナルド トランプ氏。190センチの長身にしては高めで少しハスキーな声だが、これは明らかに自己プロデュースの成果である、そうです。身長と体格に見合ったマッチョな声では反感を買ったり敬遠されたりする。だから意図的に声道を短くし、高い周波数を発生させることで優しさや甘さを加味している。相手の心をつかむ世界のトップ級の声の使い手。

ウォディミル・ゼレンスキー氏。コメディアン、俳優として自分の声を練り、使いこなしてきたことが、全世界に訴えかける演説で見事に生かされている。だが何にでもなりきれるプロゆえ、本心がうかがいしれない不気味さもある。
うーん、声だけでもこんなにいろいろなことがわかるとは、あなどれませんね。

実はまだ興味深い内容がいろいろと書かれてあります。申し訳ありませんが残り、つまり「自分を変える」という部分は次回にします。

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