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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2007年10月 「味がおかしい?」「いつもの食事がおいしくない」と感じたときは

 日もだんだん短くなり、秋も深まってまいりました。「秋」といいますと皆さんいろいろな秋を思いつくと思いますが、まずあげられるのが「食欲の秋」ではないでしょうか。秋ならではの味覚はたくさんあります。しかし、時にはなぜかおいしく感じられない、あまり味がしない、違う味に感じるということはないでしょうか?おいしい食事を楽しめない人生は文字どおり「味気ない人生」になってしまいます。

 味の障害の原因にはいろいろなものがありますが、中にはすぐ対応できる場合もあります。毎日何気なく空気のように感じている味も、実は大変大切な感覚です。今月は味覚についてご説明いたします。

 味覚障害の統計をみますと、性差、好発年齢があり、中高年者(60歳代がピーク)の女性に比較的多いといわれています。

「味がおかしい」「味がしない」と言われた場合、具体的には次のような症状があります。少しむずかしい内容になってしまいますが、

  1. 味覚の減退、脱失:味覚全体の低下、脱失。
  2. 自発性異常味覚:実際は何もないのに口の中で特定の味(苦みが多いです)がする。
  3. 解離性味覚障害:特定の味だけがわかりづらい。
  4. 異味症:本来の味と異なった味として感じる。

などです。これら全てが味覚障害と呼ばれるものです。味覚障害の原因はもちろんいろいろあり、「えーっ。」と感じられるものもあると思います。特発性味覚障害といわれる原因不明のものが最も多いのですが、原因がわかるものでは、次のようなものがあげられます。

1)亜鉛欠乏性味覚障害

血液中の亜鉛を測定して調べます。もしも不足している場合は内服薬もあります。ジャンクフードと呼ばれるような亜鉛を含まない食品がふえていたり、日本人の嗜好の変化、無理なダイエット等たくさんの要因があります。

2)薬剤性味覚障害

利尿剤、降圧剤、抗生剤、抗うつ剤等、実にさまざまな薬が原因になりえます。また、一時流行したギムネマ茶やプロポリス等でもおこるといわれています。

3)風味障害

かぜの後ににおいが弱くなる(嗅覚障害)とともに味覚も障害されるというもので、先月(9月)の当コラムをもう一度、御覧下さい。

4)シェーグレン症候群などの口内乾燥症に伴なうもの。

5)頭頚部への放射線治療後。 などがあります。

亜鉛欠乏性と風味障害は比較的、治療すると改善します。味覚障害も、症状があらわれてから早く治療する方が改善しやすいので、「味がおかしいな」と感じましたら、早めに耳鼻咽喉科専門医を受診することをおすすめします。

▼【参考】

亜鉛は、体に必要な微量金属の一つで、不足すると味覚異常などを起します。下記に亜鉛を多く含んだ食品を表にまとめてありますので参考にして下さい。

*亜鉛の多い食品 (亜鉛含有 8mg/100g以上)

嗜好飲料 *抹茶、*緑茶せん茶(一番茶)、☆玄米茶、☆ココア、紅茶、煎茶(1分間以上)
魚介類 *かき、*かずのこ、☆いわしみりん干し、☆煮干し、☆たらばがに(茹)、☆さざえ、干したら、魚卵
海草類 ☆あまのり、☆てんぐさ寒天、☆あさくさのり、わかめ
豆 類 ☆きなこ、☆赤色辛みそ、あずき、いんげん豆、納豆
種実類 ☆カシューナッツ、☆アーモンド(いり)、☆ごま(いり)、☆カボチャの種、栗(茹)
穀 類 ☆麩、薄力粉、ゆば(生)、☆そば粉、玄米、麦こがし
肉 類 牛の肝臓、ウインナーソーセージ、牛肉、豚肉、プレスハム
卵 類 卵黄
乳 類 プロセスチーズ、脱脂粉乳
野菜類 パセリ、乾ししいたけ、かぶ菜

*・・・50mg/100g以上、☆・・・10mg/100g以上

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