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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2010年9月 「耳閉感について Part2(中耳が原因の場合)」

今月も8月にひきつづき「耳閉感」についてのお話です。
8月は「外耳」が原因の耳閉感についてでしたが、今月は「中耳」が原因の耳閉感についてのお話です。

(2)中耳が原因の耳閉感

@耳管狭窄症
耳管というのは鼻の奥と中耳を結ぶ管で、外気と中耳腔の気圧の調節をします。右と左に1本ずつあります。耳管機能障害には耳管が通りづらい狭窄症とその逆の開放症があります。
耳管狭窄症は急性上気道炎(かぜ)、鼻・副鼻腔炎などの炎症性の疾患や、アデノイド増殖症で、耳管が圧迫された場合にみられます。急性上気道炎で耳管狭窄症が潜在的にあるときに飛行機に乗り着陸する際や、高い山から車にのって急速に下山する際に症状がみられます。症状はまず耳閉感です。自分の声がひびいて聞こえたり、難聴や耳鳴がすることもあります。かぜぎみのときに飛行機に乗らざるをえないというようなことは忙しい現代社会ではよくあることです。これはひどくなると航空性中耳炎になってしまうこともあるため、飛行機に乗る予定があるときにかぜをひいてしまったら、早めに耳鼻科医に御相談下さい。


A耳管開放症
耳管が通りすぎる耳管開放症も逆の耳管狭窄症と同じように耳閉感を訴えます。耳管開放症は体重が減少し、そのため耳管周囲の組織が萎縮しておきます。症状は耳閉感の他に、自分の声が耳の中に抜けて、大きく聞こえます。体を横に寝た状態にしたり、いすに座っていても頭を下げてひざより低くすると症状がなくなるため、耳管狭窄症と区別できます。(ただ、頭の位置をもとに戻すと耳閉感も戻ります。)

B急性中耳炎
耳の痛みの他に、耳閉感を訴えることがあります。かぜ気味の時になることが多いです。耳鼻科で治療してもらって下さい。

C滲出性中耳炎
耳の痛みはないのですが、中耳に貯留液があって、耳閉感と難聴を伴ないます。急性中耳炎が治ってゆく途中でなることもあります。
治療はやはり耳鼻科でおこないますが、小さい子どもさんの場合、耳が痛くないので、訴えがなく、おとなが滲出性中耳炎に気づかないですごしてしまうこともあります。耳の痛みがなくても、難聴がある状態は、言語の発達途中の子どもさんにとって良い状態ではないので、子どもさんの行動(テレビの音を大きくする、名前を呼ばれても返事をしない等)で気づいてあげて下さい。反応が何かおかしいなと感じたら、早めに耳鼻科を受診して下さい。

D鼓膜に穴があいた場合(鼓膜穿孔)
平手で耳をたたかれて鼓膜に穴があいた場合。綿棒や耳かきで耳そうじをしていて、たまたま何かにぶつかって耳の奥に入ってしまい鼓膜に穴があいた場合など。鼓膜に穴があるかどうかは耳鼻咽喉科を受診してお尋ね下さい。穴があいてしまった時は、痛みがある程度おちつくと「耳閉感」を訴えられます。鼓膜に穴があいているともちろん聴力も低下しますが、それだけではなく「耳閉感」も感じるのです。耳内を拝見して鼓膜の穴が確認できましたら、聴力検査をおこなってから治療します。


>>> 外耳が原因の耳閉感(2010年8月掲載)についてはこちら

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