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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2010年11月 「鼻づまりについて」

このところ空気が急につめたくなった気がしませんか。気温が低下しただけで鼻づまりを強く感じる方も多いと思います。
このコラムの8月9月10月は耳閉感(耳づまり)がテーマでした。今月からは、「鼻閉感(鼻づまり)」をテーマにしたいと思います。

◆鼻の病気について  のところでは

.片方だけの鼻づまり
.両側の鼻づまり
.交代性の鼻づまり

の3つに分けて簡単に、原因となりうる疾患をならべました。今回はそれぞれについて、もう少し詳しく御説明します。

1.片方だけの鼻づまりをおこす病気

(1)急性副鼻腔炎
感冒(かぜ)などの後に発症する「急性の蓄膿症」です。症状は鼻づまりの他に膿性鼻漏(黄色の粘調な鼻汁)、頬部(ほっぺた)や前頭部の疼痛などがあります。この場合の鼻づまりは片方だけのことも両側のこともあります。
かぜをひいた後、いつまでもスッキリしないで、鼻がつまってきたり、鼻汁が黄色くなってきたり、頭痛がしてきたら、早めに耳鼻咽喉科を受診して下さい。耳鼻咽喉科で治療をしてもらったり、薬をのんでだんだんよくなってくると、鼻の調子が良くないということは、意外に辛いものなんだということに改めて気づくと思います。

(2)鼻中隔弯曲症
「鼻中隔」とは右の鼻の孔と左の鼻の孔を分けている壁のことです。鼻を外から見ると鼻はまっすぐ顔についているように見える人でも、鼻の中をのぞくと、鼻中隔が大きく曲っているということはよくあります。鼻中隔弯曲症の原因は不明で、「生まれつき」「たまたま」と考えていただいてかまいません。鼻中隔弯曲症は動物の中でヒトにだけ見られることから、「人間が進化する過程で脳が発達し、重くなって鼻中隔を圧迫したから弯曲した」という説もあります。
鼻中隔弯曲症の症状はまず「鼻閉」です。論理的には弯曲の凸部分の鼻腔が狭くなっているため、こちら側、一側の鼻閉となりそうですが、実際には両側性もしくは交代性の鼻閉を訴えられることがほとんどです。それは弯曲の凹側、広い側の鼻腔では一部の粘膜が代償的に肥厚しているためと考えられています。ですから鼻中隔弯曲症は .両側の鼻づまりや .交代性の鼻づまりに分類した方が良いかもしれません。(あいまいな書き方で申し訳ありません。)

(3)鼻内異物
鼻の中に異物を入れてしまった場合で、圧倒的に乳幼児に多くみられます。入れる物は豆類、小石、プラスチックのおもちゃ等さまざまです。
症状は、はじめは鼻づまりのほかに水のようにサラサラした鼻汁や鼻出血がみられますが、時間がたつと悪臭を伴う膿のような色の鼻汁にかわります。

(4)鼻茸(はなたけ)
鼻(はな)の茸(きのこ)と書いて「はなたけ」と読みます。鼻の中にできる炎症性のポリープのことです。慢性副鼻腔炎が原因でできることが多いです。一側性のものも両側性のものもあります。
鼻茸は鼻の中に軟らかい光沢のある不透明な白っぽい色のポリープとして見られます。1つのことも複数のこともあります。鼻の中の空気の通り道をふさいで、鼻づまりの原因となります。鼻づまりがつらい場合は手術が必要になることもあります。

(5)鼻副鼻腔腫瘍
いろいろな組織型の腫瘍が存在し、良性腫瘍も悪性腫瘍もあります。
症状は一側性の鼻閉の他に鼻出血が見られることもあります。頻度は低いです。
副鼻腔の腫瘍も進行すると鼻腔内に出てきて一側性鼻閉をおこすことがあります。

以上のように、片方の鼻だけの鼻づまりをひきおこす病気でも場合によっては両方の鼻づまりをひきおこすこともあります。たいてい片方の鼻づまりしかひきおこさないのは(3)鼻内異物と(5)鼻副鼻腔腫瘍です。でも、片方の鼻がつまっていても「腫瘍じゃないだろうか」と悲観しないで下さい。副鼻腔炎や鼻中隔弯曲症や鼻茸の頻度の方がずーっと高いのですから。片方の鼻づまりでも耳鼻咽喉科を受診して原因をはっきりさせて下さい。その方が安心ですから。

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