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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2017年10月 鼻づまりについて

 秋分の日が過ぎますと毎日どんどん日が短くなってゆきます。まさに「秋の日は釣瓶(つるべ)落とし」です。皆様いかがお過ごしでしょうか。

 今回は鼻づまりについて少し考えたいと思います。どういうときに鼻がつまるかという事については2010年11月12月のコラムをもう一度ご覧になって下さい。片方だけの鼻づまり、両方の鼻づまり、交代制の鼻づまりの3つの場合に分けてそれぞれ並べてあります。今回は鼻づまりの影響について考えたいと思います。「鼻がつまるとどういう困った事がおこるか」ということです。鼻はもちろんつまっているより通っている方が楽で良いですが、具体的に鼻が通っているとどんな良いことがあるのでしょうか。

 まず鼻が通っているということは鼻呼吸ができるということです。人間は呼吸しないと生きてゆけませんから、鼻呼吸ができないと自然に口呼吸になります。鼻呼吸と口呼吸では同じ空気を吸い込むとはいえ違いがいくつかあります。

<鼻呼吸と口呼吸の違い>

@鼻呼吸では鼻腔内であたためられ、しかも加湿されしめった空気がのどに入るのに対し、口呼吸では外の冷たいかわいた空気が直接のどに入る。

A鼻呼吸では鼻の入口の毛(はな毛)で空気中のごみを取り除いてから空気がのどに入るのに対し、口呼吸では外の空気がそのままのどに入る。

 鼻呼吸の方が口呼吸より体にやさしいと言ってもよいでしょう。

 しかし、色々な理由で鼻がつまってしまった時には仕方ないので口呼吸をします。無意識のうちに口呼吸をしてしまうことも少なくありません。たとえば、睡眠時。寝ている間はどうにも仕方ありません。でも翌朝めざめるとのどがカラカラとかわいている。あるいは痛いということもあります。飲酒した翌朝にこうなることが多いです。アルコールを飲むと、粘膜がはれてしまうので鼻閉になりやすくなります。すると眠っている知らない間に口呼吸になります。

 鼾(いびき)をかく方も眠っている間は口呼吸をしているという方が多いです。睡眠時無呼吸症候群の方も口呼吸の方がやはり多いです。鼾も睡眠時無呼吸症候群の方も、口蓋扁桃が大きかったり、下顎が小さかったりという事情がある場合もありますが、同時に鼻がつまり気味で口呼吸というケースが多いです。ただ、睡眠中なので自分の意志ではどうにもなりませんが。

 鼻閉になると嗅覚も弱くなります。においは、鼻の上の方にある嗅細胞で感じます。においの粒子が嗅細胞へ到達しないとにおいません。鼻閉があるとにおいの粒子が嗅細胞まで行けません。たとえばかぜをひいて鼻がつまるとにおいがわかりにくくなってしまいます。嗅覚というのは感覚の一つですが、視覚や聴覚に比べると弱くなってもあまり不自由を感じません。しかし生きていく上では意外に大切な働きをします。たとえば、腐ったものをはじめに見分けるのはにおいです。クンクンとにおいを嗅いで変なにおいがしたらもう口には入れませんよね。赤ちゃんのおむつもにおいで替えなくてはいけないか判断することが多いです。

 そしてにおいがしないと味もわかりづらくなります。甘い、塩辛い、苦い、辛い、酸っぱい、などは舌でわかりますが、風味はにおいがしないとわかりません。

 また、口呼吸すると口臭を指摘されやすくなります。口の臭いがストレートに外に出てきます。鼻呼吸をしている時は比較的わかりづらいですが、口呼吸をすると口臭がわかりやすくなります。口臭はもちろん歯磨きをしっかりして、口内を清潔にすることが第一ですが、口内を清潔にしていても指摘されてしまう方は、口呼吸を疑ってみて下さい。起きている時に口呼吸をする癖はありませんか?

 鼻がつまっていると意外なところで不自由です。しかも慢性的につまっていると御本人もつまっていることに気づきにくくなります。鼻づまりを自覚していない方も今まで述べてきたような症状がないか、今一度考えてみて下さい。

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